「知財を自社のビジネスに活かす具体的なイメージが湧かない」
世の中に知財を活かしたビジネスモデルがたくさんあることは分かっていても、自社で活用するとなるとどうイメージすればよいか分からない―そのような方は多いのではないかと思います。
知財には、他人の権利を侵害しないための「守りの知財」と、自社の知財を事業に活かすための「攻めの知財」の両面があります。
ビジネスにおいては当然「守りの知財」も重要ですが、最近広まってきている「攻めの知財」はビジネスモデルの創出に直結し、他社との差別化を実現するために大いに役立つ考え方です。
しかし、「自社の知財を活かして他社との競争に勝ち抜きたい」と思ってはいても、何が自社の知財として価値があるのか、特許権、意匠権、商標権、著作権は何が違うのかがよく分からない、という状況ではビジネスモデルには活かせません。
知財をビジネスに活かすには、まず自社の知財を評価すること、そしてビジネス戦略に組み込むための基礎知識が必要です。
また、ビジネス戦略を実行していくためには、様々なカウンターパートとの交渉が欠かせません。
知財を巡る紛争が起こった場合はもちろん、自社の知財をビジネスに活用する場合にも、交渉力がポイントになってくるのです。
従って、効果的な知財マネジメントを行うためには、知財、コンプライアンス、交渉に関する知識の習得と、それらを組み合わせて活用するための学習が必要になります。
学習にあたっては、具体的な事例を学ぶことが有益です。
知財マネジメントにおいても、事例を知ることがビジネスでの実践に役立ちます。
そこで今回は、知財マネジメントの基礎学習に適した書籍をご紹介します。実務家による知財知識の基本書を2冊、実際の知財紛争を素材にしたリアルな小説を4冊、専門家による知財マネジメントの実務書を4冊、です。
できるだけ具体的な事例を、わかりやすく解説している本を選びました。いずれも、自分の会社や担当する事業やビジネスモデルにおいて、何が知財として差別化できるのか、各知的財産権は何が違うのかがわかる、知財マネジメントに役立つ内容が解説されています。
各書籍の特徴を明記し、目的別に並べていますので、興味のある書籍からぜひ手にとってみてください。
※著者の所属や肩書は全て刊行当時のものです
1. 実務家による知財知識の基本書
まずは、今回のテーマである知財の知識を学ぶ上で大切な土台づくりとして、実務に詳しくなれる基本書をご紹介しましょう。
1-1. 知財の基礎知識を学びたい
知的財産教育協会編『国家試験 知的財産管理技能検定 2級公式テキスト[改訂12版]』, アップロード,2022.
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本書は、国家試験知的財産管理技能検定を運営する知的財産教育協会が編集した、本検定2級の公式テキストです。改訂12版では、本書の記載に関連する内容について、出版時点で最新の意匠法・民法の法改正に対応しています。
基礎的な本検定3級の公式テキストもあります。本検定については、以下の記事をご参照ください。
参考) 一般財団法人知的財産研究教育財団『国家試験知的財産管理技能検定』,https://www.kentei-info-ip-edu.org/ (閲覧日:2022年6月21日) |
知的財産について、特許法・実用新案法、意匠法、商標法、条約、著作権法、不正競争法、民法、独占禁止法、種苗法、関税法、弁理士法がカバーされています。
単なる法律の説明ではなく、それぞれが具体的なビジネスシーンに基づく事例問題とその解説という構成で解説されており、知的財産の基本的な知識を網羅的に押さえることができる一冊です。
1-2. 知財実務の基本を学びたい
岩永利彦『キャリアアップのための知財実務のセオリー(増補版)』,第一法規,2019.
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著者の岩永利彦氏は、元ソニー法務・知財部の出身で、現在は法律事務所を経営する弁護士・弁理士です。メーカーの知財部はどのような業務をしているのかという点から、知財実務に必要な知識までを解説しています。
第3部「知財案件のセオリー」では、企業の知財部の重要業務である特許権の発明発掘と出願について、特許調査、パテントマップ、ブレインストーミングから出願の決定、弁理士への依頼までの手順を、具体的に解説しています。増補版では、本書に関連する内容について、2015年の特許法等の法改正に対応しています。
知財実務の基本的な知識を学ぶことができる一冊です。
2. 知財紛争を素材にした小説
小説は楽しみながら知識を身につけることができる、格好の教材です。それらの中から、知財をテーマにした小説を選びました。
2-1. ソフトウェアの著作権を巡る国際紛争について知りたい
伊集院丈『雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟』,日本経済新聞出版,2008.
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本書はIBMと富士通のソフトウェア紛争を題材とした小説「雲を掴め」の続編で、コンピュータ―のソフトウェアの著作権を巡る日米企業の紛争をリアルに描いた経済小説です。
著者は、当時の富士通側の当事者で、後に副会長となる鳴戸道郎氏(伊集院丈はペンネーム)です。
小説中の「閑話休題」の箇所に、富士通とIBMの争点の解説や、日米間の著作権制度の解説などがあり、知財知識を学ぶ本としても有益です。経営学者で慶應義塾大学教授の國領二郎氏は、本書についてあとがきで次のように述べています。
小説という表現形態を選ぶことで、表面的な論理だけでなく、裏で働いた企業内の組織防衛の力学まで、踏み込んでふれたという意味でも、本書の価値ははかりしれない。本書が小説であってフィクションであることを理解しつつ、そこに当事者でなければ分からない機微が満載されている。守秘義務に縛られた期間が終わり、書くことを許されるタイミングが来るのを待って、経緯を詳細に記述されたことに読者を代表した伊集院氏に感謝したい。
(P230「あとがき」)
日米の大企業がソフトウェアを巡り、なぜ、そしてどのようにして知財紛争が起こったのかを教えてくれる一冊です。
2-2. 製薬分野の国際特許紛争について知りたい
池上敏也『ブルーベリー作戦成功す』,幻冬舎,2014.
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著者(池上敏也はペンネーム)は、元製薬会社の弁理士です。退職後に特許事務所を開業し、自らの経験と知見に基づき、新薬開発を巡る特許紛争をテーマに、経済小説を執筆しています。
本書では次のように、いきなり日本企業からドイツ企業への警告書から始まります。
【警告書】
拝啓 貴社益々御青栄のこととお慶び申し上げます。
さて、貴社は抗生物質セファムストールを平成24年8月30日より『セファドチン』の28日商品名で販売なされておられます。
ご存じでしょうが、当社はセファルストールを平成23年9月26日に特許出願しております。この出願は平成28年3月28日に出願公開されました。当社はこの出願を必ず特許にするつもりです。その場合、貴社が行っているセファムストール販売行為は当社の権利を侵害することとなります。
そこで当社はここに、貴社のセファムストール販売行為の即時停止を強く要請いたします。
万一、貴社が販売を続ける場合には、当社は自らの権利を守るためのあらゆる法的措置をとることをここに警告します。
本書面が到着して二週間以内に、貴社のご見解をご回答ください。
敬具
平成24年11月30日
(P6 「プロローグ」)
その後、回答書と警告書のやり取りが続くという設定になっています。
ライバル企業同士の特許紛争ではどのようなやり取りがあるのか、そして、製薬分野の特許権を巡り、どのような国際紛争があるのかを知ることができる一冊です。
2-3. 米国パテントトロールのリスクを知りたい
石橋秀喜『パテントトロール―特許マフィアに狙われた日本企業の行方』,2010.
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著者の石橋秀喜氏は米国ニューヨーク州弁護士、米国公認会計士、行政書士の資格を持っています。オリンパス、アルプス電気知財部門、アクセンチュア法務部門責任者として活躍されていた方で、現在は㈱プロファウンド代表取締役社長を務めています。
本書は、米国のパテントトロールと日本企業の特許紛争をリアルに描いた小説です。
パテントトロールは「特許の怪物」と呼ばれており、中小企業など第三者から買い取った特許権を行使して、高額の損害賠償金やライセンス料を得る方法もしくはグループです。
2017年には、米国のアップルがパテントトロールの被害に遭い、4億3970万ドル(約490億円)もの特許侵害料の支払いを命じられたことが話題となりました。
参考) 「米アップルに4億ドル支払い命令 米地裁」,『日本経済新聞』, 2017年10月17日,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22356380X11C17A0TI1000/ (閲覧日:2021年4月21日) |
本件について、元IBM弁理士で金沢工業大学客員教授の栗原潔氏は、次のようにコメントしています。
パテントトロールの最大の問題点は自社では(実質的には)実業を行なっていない点にあります。事業会社どうしの特許訴訟であれば、特許をクロスライセンスして和解するというWin-Winの解決策が取れますが、対パテントトロールはこれは当てはまりません。実業を行なっていないパテントトロールは特許ライセンス供与されてもメリットがないからです。
栗原潔「アップルを訴えたパテントトロールの極悪度を評価する」,『Yahoo!ニュース』, 2016年2月8日,https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20160208-00054236/ (閲覧日:2021年4月21日)
IoTやAI関連のビジネスをパテントトロールから守るため、政府が法改正する動きも報道されました。
参考) 「「特許の妖怪」から日本企業守れ、「パテントトロール」法外な使用料要求 政府本腰、第三者委設置へ」,『産経ニュース』, 2017年5月16日,http://www.sankei.com/west/print/170516/wst1705160019-c.html (閲覧日:2021年4月21日) |
米国のパテントロールとは何者なのか、日本企業との間でどのような特許紛争が起こるのかを知ることができる一冊です。
2-4. 米国サブマリン特許の歴史を知りたい
服部真澄『鷲の驕り』,祥伝社 ,1999.
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著者の服部真澄氏は、編集制作会社勤務を経て、「龍の契り」で直木賞候補となった小説家です。本書によって、吉川栄治文学新人賞を受賞しています。
米国の個人発明家が日本企業に特許侵害訴訟を起こし、巨万の富を得ているという設定から、米国の「サブマリン特許」を巡る紛争を素材にした経済小説です。サブマリン特許は、次のような特許のことです。
特許出願後、非公開のまま数十年潜伏してから突如成立する特許のこと。ある技術が広く普及した後に特許が成立することから、企業が支払うロイヤリティーや損害賠償が莫大な額になりやすい。広義には、市場が成立するまで存在が知られず、ある日突然ライセンス料の要求に使われる特許を指すこともある。海中に潜水した後に突然姿を現す潜水艦になぞらえて名が付いた。
「サブマリン特許」,『日経XTECH』, 2005年10月18日,http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060314/114772/ (閲覧日:2021年4月21日)
米国特許法の改正により、現在では存続していない制度ですが、サブマリン特許の存在は日米特許紛争の歴史的な出来事でした。
サブマリン特許を巡る歴史から、特許制度の違いによる特許紛争について学ぶことができる一冊です。
■大手電機メーカーで実際に行われた施策をもとにコンプライアンス教育手法を131ページにわたり解説!
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3. 専門家による知財マネジメントの実務書
ここでは、知財のスペシャリストらが著した実務書を取り上げます。知財についてより深く学ぶことができます。
3-1. 知財と会計の両面から知財マネジメントを学びたい
鮫島正洋ほか『知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く』,日経BP,2016.
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本書は、直木賞を受賞した小説「下町ロケット」に登場する神谷弁護士のモデルとなった弁護士・弁理士の鮫島正洋氏と、デロイトト―マツフィナンシャルアドバイザリー合同会社知的財産グループシニアヴァイスプレジデントの小林誠氏による知財戦略の実務書です。
以下のようなテーマを各章で取り上げ、技術をベースとした知財戦略について、知財と会計の両面から多角的に解説しています。
第1章:技術のコモディティ化と知財・事業戦略
事業の知財ステージ評価から始める知財・事業戦略の方法論を解説
第2章:オープン&クローズドの戦略論
知財をオープンにして積極的に他社利用を促す場合と、クローズして自社のみが実施する場合について解説
第3章:特許の権利行使と知財ファンド
保有する特許を自らは実施しない企業・団体について解説
第4章:知財の取引と新たな紛争
知財の取引事例と、特許訴訟の動向を解説
第5章:事業と知財の一体化
知財戦略の手段としてのM&Aについて解説
第6章:特許のコストとリターン
知財の経済的な価値評価について解説
第7章:グローバル特許の取得と訴訟戦略
グローバル市場で事業を進めるのに欠かせない、グローバル特許の取得方法と、訴訟戦略について解説
第8章:グローバル知財管理とタックス戦略
グローバルな視野から見た知財管理やそれに関わるタックス戦略の考え方について解説(P6-14 目次より、主要なテーマを抜粋)
知財マネジメントについて、知財というリーガル面と会計というファイナンス面の両面から総合的に学ぶことができる一冊です。
3-2. 経営の視点から知財戦略を学びたい
丸島儀一『知的財産戦略 技術で事業を強くするために』,ダイヤモンド社 ,2011.
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著者は、元キャノン専務で弁理士の丸島儀一氏です。知財担当の経営者と弁理士としての専門知識を土台に、日本企業が事業で勝つための実践的な知財戦略を解説しています。
元京セラ社長の西口泰夫氏は、本書の著者丸島儀一の人と仕事における、知財を活かす経営について、次のように述べています。
丸島氏は「代替技術の脅威に対して、事業を守るために特許で対抗する」という考えを持ち、自社が実施しない技術についても特許を出願することに積極的である。これは、単に新技術が生まれたから特許を取るという素朴な考え方とは一線を画す、「特許を戦略的に事業へ活用する」という意思を示す考え方だ。これなどは、「知的財産をいかに事業に結びつけるか」を考え抜いた末の発想の表れに思える。
(P314 解説―丸島儀一の人と仕事)
知財マネジメントについて、経営的な視点から戦略を学ぶことができる一冊です。
3-3. 技術をベースにした知財マネジメントを学びたい
妹尾堅一郎『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』,ダイヤモンド社 ,2009.
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著者の妹尾堅一郎氏は、元東京大学特任教授(知的資産経営)で、NPO法人産学連携推進機構理事長、一橋大学MBA客員教授です。
事業経営には、強い将軍と兵(技術力)、それを使いこなす軍師(ビジネスモデルと知財マネジメント)の「三位一体」が必要であると解説しています。
本書は、大きくまとめると、次のような内容で構成されています。
1.イノベーションの概念や考え方を整理
(xxi-xxii「序 技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」よりテーマを抜粋)
2.「垂直対水平」、「インテグラル対モジュラー」、「クローズド対オープン」、「インテル・インサイド型対アップル・アウトサイド型」の比較を通じて、イノベーションモデルの特徴と現状を解説
3.知財マネジメントの基本的な原則論の紹介とビジネスモデルと知財マネジメントの組合せパターンを解説
特に、第3章「インテル・インサイド、アップル・アウトサイド 計算ずくで創られるイノベーション」では、インテルのモデルを「基幹部品主導で完成品を従属させる」モデル、アップルのモデルを「完成品イメージ主導で部品を従属させるモデル」として整理し、それぞれの戦略を詳しく解説しています。
技術をベースとして知財マネジメントの基本とインテル、アップルなどの事例を学べる一冊です。
3-4. 知財の歴史から、米国の知財戦略を学びたい
ヘンリー幸田『なぜ、日本の知財は儲からない パテント強国アメリカ 秘密の知財戦略』,レクシスネクシス・ジャパン,2013.
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著者は米国弁護士で、専門は米国知財訴訟、侵害鑑定、ライセンス、コンサルティングです。
本書は古代ギリシャに始まる専売権から、ベネチアの特許制度という特許制度の歴史、米国の特許法と日本の知財制度の歴史までを時系列に解説しています。
第5章「経済の価値基準をハードからソフトに転換させた米国新国家戦略」では、米国の知財戦略の発端となった背景や方針が解説されています。
米国の知財政策に大きな影響を与えたのは、ヤング・レポート(1985)とパルミサーノ・レポート(2004)です。これらのレポートは、米国の知財政策の基本的な指針となっています。
その中でも特に重要なのが、「プロパテント」と呼ばれる知財強化の政策です。米国はプロパテント政策を通じて、経済価値の基準をハードからソフトに置き換えることにより、「強いアメリカの復活」を目指しています。著者は、この政策について詳しく解説しています。
参考) 「ヤング・レポート」,『日経XTECH』, 2005年11月30日,http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060308/114361/?rt=nocnt (閲覧日:2021年4月21日) 「パルミサーノ・レポート」,『日経XTECH』, 2005年9月30日,http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060314/114759/ (閲覧日:2021年4月21日) |
また、第6章「米国に生まれた新しい知財ビジネスの実態」では、過去のパテントマフィアの歴史から、パテントトロール、パテントポートフォリオ戦略、パテントアグリゲーター、知財取引仲介業(ブローカー、オークション、信託、権利行使代行業)など新しい形態を紹介しています。
また、米国企業の事例として、マイクロソフト、インテル、3M、TI(テキサスインスツルメンツ)の知財戦略を解説しています。
知財制度の歴史的背景から、最新の米国知財戦略までを学ぶことができる一冊です。
■大手電機メーカーで実際に行われた施策をもとにコンプライアンス教育手法を131ページにわたり解説!
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「知的財産」をeラーニングで社員教育
eラーニング教材:事例で学ぶ 特許・実用新案(1)
ビジネスをする上で必要となる知的財産の知識とは?
こちらの記事にある通り、知的財産とは、人の知恵や工夫などから生まれる創造物のことです。本教材では、事業活動において必要となる知的財産についての基本的な考え方や申請の方法、知的財産を活用して事業活動を効果的に進めるためのキーポイントを事例を交えて学習します。(知的財産検定2級試験に対応しています。)
本教材をeラーニングとして配信することで、効率的に「知的財産」の社員教育をすることが可能です。
4. まとめ
知財マネジメントについて、知財の基礎知識からリアルな紛争事例を学べる本まで、10冊を目的別にご紹介しました。
学習指導要領の改訂により、初等中等教育において、知財教育が行われることになりました。しかし、現在、企業に所属する社員の皆さんは、大学も含めて知財について学ぶ機会がほとんどなかったと思います。
参考) 文部科学省初等中等教育局教育課程課「初等中等教育における創造性の涵養と知的財産の意義の理解に向けて」,2015年12月22日,http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/061/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/23/1365598_9_1.pdf (閲覧日:2021年4月21日) |
そのため、社会に出てから意識的に知財を学ばない限り、経営における知財マネジメントの重要性は認識していても、自社にはどのような知財があり、それをどのように活用したらよいかが分からないことも多いと思います。
特許権、商標権、意匠権、著作権の違いや区別も、知識がなければ難しいものです。
さらに、知財には「攻めの知財」と「守りの知財」があり、知財マネジメントを実現するためには、コンプライアンスや交渉の知識と組み合わせて学ぶと効果があります。
今回ご紹介した知財マネジメントのための10冊と、他の記事でご紹介した本を、それぞれの目的に合わせて自社の知財マネジメントを実現するための教育にご活用ください。
- 佐藤信彦「まるでバベルの塔、ドローン向けの超高密度な配送センター技術–アマゾン公開特許」,『CNET Japan』,2017年6月26日,https://japan.cnet.com/article/35103321/ (閲覧日:2021年4月21日)
- 「米アップルに4億ドル支払い命令 米地裁」,『日本経済新聞』, 2017年10月17日,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22356380X11C17A0TI1000/ (閲覧日:2021年4月21日)
- 栗原潔「アップルを訴えたパテントトロールの極悪度を評価する」,『Yahoo!ニュース』, 2016年2月8日,https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20160208-00054236/ (閲覧日:2021年4月21日)
- 「「特許の妖怪」から日本企業守れ、「パテントトロール」法外な使用料要求 政府本腰、第三者委設置へ」,『産経ニュース』, 2017年5月16日,http://www.sankei.com/west/print/170516/wst1705160019-c.html (閲覧日:2021年4月21日)
- 「サブマリン特許」,『日経XTECH』, 2005年10月18日,http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060314/114772/ (閲覧日:2021年4月21日)
- 一般財団法人知的財産研究教育財団『国家試験知的財産管理技能検定』,http://www.kentei-info-ip-edu.org/ (閲覧日:2021年4月21日)