コンプライアンスを 教える

コンプライアンス研修の事例ネタ選びに使えるサイト・書籍、活用法をご紹介

2022.1.5 更新

「コンプライアンスを強化してくださいって言われても、実際、現場は何をすればいいの?」

コンプライアンス教育をするにしても、法律の内容やガイドラインを学ぶだけでは、実際に自社の現場でどんな問題が起こりうるのか、どんな行動をとればよいのか、そこまで落とし込むことは大変難しいものです。そのため、過去に起こった事例を活用した学習が効果的です。

では、その肝心な「事例学習の素材」となる情報はどのように集めればよいのでしょうか。
そこで今回は、有益な情報を見つけるためのアプローチ方法と、お勧めのウェブサイト、書籍をご紹介します。

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大手電機メーカーで実際に行われたコンプライアンス施策をもとに教育手法にフォーカスし、131ページにわたり解説しています。

1. 事例を活用するメリット

コンプライアンス問題の予防には、実際に発生したコンプライアンス問題の事例を素材として、トラブルの発生原因と教訓を見出す方法が有効です。

コンプライアンスに事例学習が効く!意識を底上げする取り組みを解説

事例を活用することは、学習者にとって、①学習意欲を刺激できる、②学習効果が高い、③実務に活用しやすい、という3つのメリットがあります。そのため、事例選びではその価値を活かせるようにすることが大切です。

また、少人数のメンバーで議論しながら、①事例の共有、②論点のレビュー、③教訓の抽出というプロセスを経て事例を分析することが、コンプライアンス教育に有効なプログラムや教材作り、人材育成に役立ちます。

それではさっそく、事例を探す方法と主な情報源を見ていきましょう。

2. 有益な情報を見つけるための4つのアプローチ

まず、ウェブサイトを活用して、自社の事例教育に適した素材を見つけるためのアプローチ方法をご紹介します。

2-1. 話題性

教育学者のジョン・M・ケラー教授のARCS(アークス)モデルによると、学習意欲は、学習者の関心を獲得し、学ぶ好奇心を刺激することから生まれます。

コンプライアンスに事例学習が効く!意識を底上げする取り組みを解説

コンプライアンス教育の学習意欲を刺激するためには、話題性のある事例を用いるとよいでしょう。同じ業界や著名企業の違反などがニュースになった、というケースです。そのうえで、学習対象者と学習目標にあった話題の事例を選ぶことが大切です。

どのような素材を選べばいいのか、学習対象者と学ぶ法律ごとに、2つのケースを考えてみましょう。

2-1-1. マーケティング部門に独占禁止法の教育を行う場合

たとえば次の記事には、アマゾンが独占禁止法違反の疑いを受けて、公正取引委員会の立ち入り調査を受けたことが報道されています。そして、その法的な根拠について、弁護士の解説も掲載されています。

公取委、アマゾンジャパン立ち入り 値引き額の一部支払い要求 独禁法違反容疑で(産経ニュース)
https://www.sankei.com/affairs/news/180315/afr1803150035-n1.html
アマゾンが求めた「協力金」は優越的地位の濫用にあたるのか (BUSINESS LAWYERS)
https://business.bengo4.com/category8/article317

上記から情報を得て、

  • ① 事実関係を共有する
  • ② 公正取引委員会とはどのような機関か、根拠となる独占禁止法とは何かを学ぶ
  • ③ なぜ、独占禁止法違反の疑いを持たれたのかについて議論する

というプロセスをとります。

アマゾンは誰でも知る企業ですから、マーケティング担当が興味をもって独占禁止法について学ぶ教育プログラムを作ることができます。

著名企業が話題になった事例については、弁護士や大学教授等の専門家が解説した情報が公開されていることが多いので、事例として適しています。

3. 情報収集に有益なお勧めサイト

それでは、実際に、法律の知識取得や事例学習の素材探しに役立つ官公庁や行政機関、業界団体、専門家のウェブサイトをご紹介します。

3-1. 公正取引委員会

公正取引委員会 公式ウェブサイト
https://www.jftc.go.jp/
公正取引委員会は、独占禁止法、下請法を運用する行政機関です。それぞれの法律に関するページを見てみましょう。

独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)
https://www.jftc.go.jp/dk/

いくつか並んでいますが、この中で事例の素材に役立つのは次の項目です。

●各種パンフレット
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.html#cmsdk
基礎的な解説から、「1分でわかる!」シリーズまで、さまざまな啓発教材が掲載されています。

●独占禁止法Q&A
https://www.jftc.go.jp/dk/dk_qa.html
一般的なQ&Aですが、たとえば、次のQなどは、「再販価格維持」や不当廉売に関するガイドラインを学ぶ素材になります。

Q10
小売店が、実質的な仕入価格を大幅に下回るような価格で継続して販売することは、独占禁止法に違反しますか。

A.独占禁止法は,正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある行為等を不当廉売として禁止しています。
 その商品を供給しなければ発生しない費用を下回る価格が「供給に要する費用を著しく下回る対価」となりますが,例えば,実質的な仕入価格(値引き,リベート,現品添付等が行われている場合には,これらを考慮に入れた仕入価格)に仕入経費を加えた額を下回る価格が,「供給に要する費用を著しく下回る対価」に該当する典型的な例となります。ただし,そのような価格での販売であっても,需給関係から販売価格が低落している場合において,市況に応じて低い価格を設定しているときや,キズ物,季節商品の処分のために低い価格を設定しているときなど,「正当な理由」がある場合は違法にはなりません。

4. 情報収集に役立つ書籍

次に、事例の素材として活用できる書籍をご紹介します。

  • リスクマネジメントの教科書 50の事例に学ぶ”不祥事”への対応マニュアル
    著者:ACEコンサルティング(株)
     エクゼクティブアドバイザー 白井邦芳
    出版:東洋経済新報社
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  • 【事例でみる】企業不正の理論と対応
    著者:【監修】八田進二 【編】株式会社ディー・クエスト、一般社団法人日本公認不正検査士協会
    出版:同文館出版
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  • なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか 有名事件13の原因メカニズムに迫る
    著者:警察大学校教授 樋口晴彦
    出版:日刊工業新聞社
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これに加えて、著作権法に関するお勧め図書をご紹介しましょう。

  • Q&A引用・転載の実務と著作権法 第4版
    著者:弁護士 北村行夫、弁護士 雪丸真吾
    出版:中央経済社
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著作権コンプライアンスにおいて、「引用」や「転載」はトラブルが多く、理解が難しい分野です。しかし本書は、著者の弁護士が引用・転載の実務について、Q&A形式で具体的な事例を用いて、分かり易く解説しています。そのため、コンプライアンス教育の事例素材として有益です。

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コンプライアンス教育について、この記事でご紹介したウェブサイトや書籍を活用し、自社に合ったプログラムや教材によって行うことはもちろん、eラーニングも効果的な学習方法です。
本シリーズでは、コンプライアンスの基礎を網羅的に学習することができます。違反事例や対策なども充実しており、多くの企業にとって重要な分野ごとに学習することができるほか、法令の解説を聞くだけでは対応しにくい「現場」の視点を考慮して開発している点も特長です。

本シリーズの教材をeラーニングとして配信することで、効率的に「コンプライアンス」の社員教育をすることが可能です。

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5. まとめ

コンプライアンス教育には、学習者が興味をもてる事例が不可欠です。活用できる有益な情報をウェブサイトから集める方法として、①話題性、②所管官庁、③業界、関係団体、④専門家をキーワードにした4つの方法があります。

各ウェブサイトには膨大な情報が掲載されていますので、その中でも注目すべき情報に絞り、その情報がどんな学習に役立てられるのかを把握することも大切です。

ご紹介したアプローチ方法とウェブサイト、書籍を活用し、自社に合ったコンプライアンス教育のプログラムや教材作りに取り組んでください。

Written by

一色 正彦

金沢工業大学(KIT)大学院客員教授(イノベーションマネジメント研究科)
株式会社LeapOne取締役 (共同創設者)
合同会社IT教育研究所役員(共同創設者)

パナソニック株式会社海外事業部門(マーケティング主任)、法務部門(コンプライアンス担当参事)、教育事業部門(コンサルティング部長)を経て独立。部品・デバイス事業部門の国内外拠点のコンプライアンス体制と教育制度、全社コンプライアンス課題の分析と教育制度を設計。そのナレッジを活用したeラーニング教材の開発・運営と社内・社外への提供を企画し、実現。現在は、大学で教育・研究(交渉学、経営法学、知財戦略論)を行うと共に、企業へのアドバイス(コンプライアンス・リスクマネジメント体制、人材育成・教育制度、提携・知財・交渉戦略等)とベンチャー企業の育成・支援を行なっている 。
東京大学大学院非常勤講師(工学系研究科)、慶應義塾大学大学院非常勤講師(ビジネススクール )
主な著作に「法務・知財パーソンのための契約交渉のセオリー(改訂版民法改正対応)、「第2章 法務部門の役割と交渉 4.契約担当者の育成」において、ブレンディッド・ラーニングの事例を紹介」(共著、第一法規)、「リーガルテック・AIの実務」(共著、商事法務:第2章「 リーガルテック・AIの開発の現状 V.LMS(Learning Management System)を活用したコンプライアンス業務」において、㈱ライトワークスのLMSを紹介 )、「ビジュアル 解説交渉学入門」、「日経文庫 知財マネジメント入門」(共著、日本経済新聞出版社)、「MOTテキスト・シリーズ 知的財産と技術経営」(共著、丸善)、「新・特許戦略ハンドブック」(共著、商事法務)などがある 。

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